毎年22日頃にある「一年で最も夜の長い日」といわれる冬至。
南瓜を食べ、ゆず湯に入る方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな冬至ですが、毎年きっちりと日付が決まっているわけではありません。
大体21日か22日で、2023年の冬至は12月22日(金)です。
冬至と極夜と白夜
夜が長くなる理由は、ひとことでいうと「地球の回転軸が傾いているから」です。
地球の回転軸を「地軸」といいますが、地軸は、1年をかけ太陽の周りを周る「公転面」に対して、約23.4度の角度を持っています。
この傾きが太陽の方に向いている時期は、暑く昼が長くなり、反対に太陽とは逆の方に向いている時期は、寒く夜が長くなります。
ちなみに北極圏では、夏至前後にある夜が来ない白夜が有名ですが、冬至の前後は極夜と言って、24時間太陽が顔を出す事はないそうです。
白夜の真逆ですね。
またまた話は少し飛びますが、南極圏は北極圏と逆で、冬至前後に白夜があるそうです。
英語では冬至を「the winter solstice」と言います。
他では冬の中間点という意味で「midwinter」もあります。
もし、単語が分からなかった場合は、「the shortest day of the year」で、1年で最も日が短い日という事で、冬至だと伝えられます。
注意点として、南半球では季節が逆であるのも夏至なので、「winter」を「summer」に変え、「the summer solstice」「midsummer」「the longest day of the year」になるのでご注意を。
二十四節気
二十四節気を簡単に説明すると、季節の変わり目が分かる便利な印です。
約15日ずつ24に分けられ、その15日間を指して節気といいますが、毎年話題になる冬至は、この15日間に入る初日を指しています。
冬至は、北半球では太陽の南中高度が一番低く、太陽の位置が1年で最も低くなり、昼間が最も短くなります。
冬至の日照時間と太陽の位置が最も1年で高くなる夏至の日照時間を比べると、東京で約4時間40分も差があるそうですよ。
そして、この日から日照時間が長くなっていくので、生命力が復活する節日として祝う習慣が世界各地にもあります。
西洋のクリスマスも、陽気回復を祝う風習がその背景にあったとも言われます。
また逆に、太陽が出ている時間が一番短い日なので、「一年で一番太陽の力が弱まる日」として、冬至を死に一番近い日と考えてもいたようです。
そういった理由から、厄を払い、無病息災を願って、下記に記載した運盛りの食材を食べ、ゆず湯に入ったとも言われます。
大師講
世界でも、農耕の再生の力をもたらす神聖な旅人が村にやってくる日と信じられ、日本では弘法大師が村を巡るという伝承が広く伝えられています。
この日に、小豆粥や団子を作って供える大師講の行事が、旧暦11月23日夜から翌日にかけて見られるそうです。
また、太陰太陽暦では、暦の計算の起算点として重要だったそうですが、現代の天文歴の推算は春分点が重要な役を持つそうです。
その他、陰が極まり再び陽に変える日という意味の「一陽来復」といって、冬至を境に運が向いてくると言います。
ゆず湯
ゆず湯に入るのは禊と考えられています。
端午の節句のしょうぶ湯も同じです。
また、冬至にゆず湯に入る習慣は、江戸時代に作られ始めた銭湯が始めたそうで、冬至(とうじ)を湯治(とうじ)にかけ、無病息災・達者なら融通(ゆ・う・ず・う)が利くというダジャレからゆず湯が生まれたという話があります。
実際のゆず湯の効能としては、血行促進・保湿効果、リラックス効果、冷え性改善、腰痛緩和などが認められています。
血行促進や冷え性改善の効能が、謂れのある風邪予防にもなりそうですね。
南瓜と運盛り
ゆず湯と違い南京を食べる風習は、明治以降に生まれた比較的新しい習慣と考えられています。
実は南瓜は、7月~8月に収穫の最盛期を迎える夏野菜です。
その南瓜を冬至に食べる習慣は全国で見られ、南瓜が選ばれたのは、保存がきき栄養満点なので選ばれるのも頷けます。
南瓜に含まれるβカロテンは、体の中でビタミンAに変換されます。
βカロテンは抗酸化作用や免疫力を高め、ビタミンAは皮膚や粘膜を健康に保ってくれます。
他にも南瓜には、ビタミンB1、B2、C、E、食物繊維もたっぷり含んでいます。
食べ方も各地で色々あり、小豆と煮たり団子にしたり、山梨では南瓜のほうとうを食べるとか?南瓜と小豆を煮た「いとこ煮」という料理もあります。
どれも美味しそうですね。
南瓜を冬至に食べると中風にならないとか、長生きをするとも言われているそうです。
運盛り
運盛りとは、縁担ぎの一種です。
冬至に「ん」のつくものを食べる事で、運を呼び込めるとされています。
そして、冬至の七草と呼ばれるものがあり、「ん」が2つついています。
運を呼び込む効果も2倍と言われています。
冬至の七草以外にも、こんにゃくを食べる風習が北関東にあるそうで、こんにゃくは食物繊維が豊富で、体内の老廃物を排出し、体の調子を整えてくれる効能があります。
これを「砂おろし」といい、体内にたまった砂を出します。
大掃除や大晦日、節分の後に食べていたそうで、その名残ではないかという事です。
その他、小豆も小豆の赤が邪気を払うそうで、冬至粥と呼ばれる小豆粥や南瓜と一緒に料理されるいとこ煮を食べたり、冬至の「と」に因んで、豆腐・唐辛子・ドジョウ。いとこ煮など、「と」のつく食べ物を食べると良いという話もあります。
冬至の七草
1.なんきん(南瓜)
2.れんこん
3.にんじん
4.ぎんなん
5.きんかん
6.かんてん
7.うんどん(饂飩:うどん)
・・・あれ、七草?
とりあえず、春や秋の七草とは趣が違いますね。
最後に
暦の上では冬至は立冬と立春の真ん中ですが、実際にはこの頃から寒さが厳しくなります。
冬至に栄養満点の南瓜を食べ、ゆず湯で暖まり、冬のイベント事として楽しみつつ、健康に冬を過ごしていきましょうね。
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