「暑さ寒さも彼岸まで」といいます。
そろそろ過ごしやすい気候になってきて欲しいですね。
この記事を書いている2023年の秋のお彼岸は、20日から26日までの7日間です。
ちなみに今年の中日は、23日で秋分の日です。
そのお彼岸についてご紹介していきます。
お彼岸の期間
春と秋にあるお彼岸ですが、実は毎年日程が変わるのをご存じでしょうか?
実は、お彼岸の時期にある、春分の日・秋分の日は、太陽の動きに合わせて、毎年国立天文台定めており、前年の2月1日に政府が発表する事で正式に決まっています。
この春分の日・秋分の日を中日として、その前の3日前を彼岸入り、3日後を彼岸明けと呼び、この7日間がお彼岸と言われる期間となります。
春分の日・秋分の日は、昼と夜の長さが同じと言われますが、実際は、春分、秋分の日、どちらも昼の方が少し長いそうです。
春分の日・秋分の日の主旨は、春分の日が「自然をたたえ、生物をいつくしむ」、秋分の日が「祖先をうやまい、なくなったひとびとをしのぶ。」だそうで、万物を敬い、慈しむ気持ちを思い出させる、素敵な休日です。
お彼岸とは?
お彼岸とは、春彼岸と秋彼岸を指し、現代は家族や親せきと一緒にお墓参りをして、ご先祖様の供養をされる方も多いのではないでしょうか?
語源や意味
お彼岸の語源は、サンスクリット語(古代インド・アーリア語に属する言語)の「paramita(パーラミタ)」で、日本における音写語(外来語を、他の言語の文字を用いて書き移した言葉)は、「波羅蜜多(はらみた)」です。
パーラミタは「完成する、成就する」という意味があります。
「波羅蜜多」の漢訳は、「至彼岸(とうひがん)=彼岸に至る」となり、「お彼岸」は「悟りの世界へ辿り着く」という意味になります。
もしかしたら波羅蜜多という言葉は、聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんね。
日本の仏教では、「此岸(しがん)」と「彼岸(ひがん)」という概念があり、此岸はこちら側(この世)。欲や煩悩にまみれた世界。彼岸は向こう岸(あの世)。仏の住む浄土の世界。悟りの世界。と考えます。
ちなみに、この岸の間に流れる川のことを「三途の川」と呼びます。
そして、極楽浄土は、遥か西のかなたにあるとされ(西方浄土)、太陽が真東から出て、真西に沈む。そんなお彼岸の時期は、浄土への道しるべが出来る時とされていました。
昼と夜の長さがほぼ同じ長さになるので、1年の中でこの世とあの世の距離が一番近くなるので、思いが通じやすくなる時期と考えられたいたそうです。
あの世にいる大事な人に、思いが届きやすい時期という事にもなりますね。
また、昼夜の長さが同じという事は、偏りや執着を持たないで、正しい判断で構想するという、仏教の中道思想の教えに合っているとも考えられます。
この考えに加えて、日本古来からの信仰に「日願」というものがあり、「彼岸」と結びついて、「お彼岸」の行事が生まれたそうです。
ちなみに、日願信仰とは、古代より農作が盛んだった日本では、作物を育てる太陽と私達を守って下さる祖先神への感謝を基本とした太陽信仰があり、この信仰が「日願」と呼ばれていたようです。
これらから、お彼岸の行事は日本特有のものの様です。
お彼岸にすること(お彼岸行事)
Q.お彼岸行事とは?
A.ご先祖様へ供養を行いつつ、仏教修行をすることとなります。
では、実際にどういう事をしていくかをご紹介します。
1.お墓参り
お墓参りは、中日(春分の日・秋分の日)にしないといけないという決まりは
ありませんが、時間的には、お日様が出ている時が適切なので、お天気のいい
日中にお参りすると良いでしょう。
現代のお彼岸にすることは、お墓参りが一番多いのではないのでしょうか。
*別トピックにて、お墓参りのマナーや作法を詳しく記事にする予定です。
記事をアップ次第リンクいたします。
2.仏壇・仏具の掃除
別トピックにて詳しく記事にする予定です。
記事をアップ次第リンクいたします。
3.彼岸会に参加
寺院によっては法要を行っているところもあります。
お寺とお付き合いがある場合は、彼岸会と呼ばれる法要に出席しましょう。
4.六波羅蜜の修行を行う
六波羅蜜とは?
六波羅蜜とは、出家していない人たち向けに説いた悟りに至る為の修行です。
簡単に説明しますと、下記のような感じです。
・布施(ふせ) … 施しをする
・持戒(じかい) … 規律を守る
・忍辱(にんにく) … 正しい心を持つ
・精進(しょうじん)… 努力する
・禅定(ぜんじょう)… 平静な心を持ち続ける
・智慧(ちえ) … 智慧を磨き、智慧を働かせる
これら6つは、仏教の修行の基本でもあるそうです。
なるほど、この6つを行えるようになれば、平穏な心で暮らしていけそうです。
お彼岸のお供え物
ぼたもちとおはぎ
お彼岸のお供え物としては、春分の日はぼたもち、秋分の日はおはぎが有名です。
ぼたもち、おはぎの名前の由来は、春の花の牡丹と、秋の七草の一つでもある萩の花から取られています。
牡丹も、美しい女性の姿や立ち振る舞いを花に例えた、「立てば芍薬座れば牡丹、歩く姿は百合の花」で、聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
一般的にぼたもちはこしあんで、おはぎは粒あんで作られますが、春の小豆は収穫して間が空き、皮が固くなる為、こしあんを使うそうです。
ちなみに、小豆の赤色は邪を払うそうで、ぼたもちもおはぎも縁起のいい食べ物です。
赤飯もそうですね。
その他
その他、落雁や果物などもお供えとしてよく見かけますが、故人の好きだったものを供えられると喜ばれると思います。
果物は何でもいいようですが、リンゴや梨、メロンなど、日持ちするものの方が良いかと思います。
果物は、盛籠のままお供えしてもいいですが、ご先祖様に敬意を示して、高杯(たかつき)や盛器(もりき)と呼ばれる専用の器にお供えするとなお良いでしょう。
また、故人の好きだったものでも、お肉やお魚系、お酒は仏教では禁じられているので、家でお供えする時はともかく、手土産で持っていくのは避けた方がいいと思われます。
手土産でお菓子などを持っていく場合も、日持ちするものを用意した方が、先方にとって助かると思います。
彼岸団子
地域によってはお団子をお供えする風習があるところもあります。
私の実家ではお供えしていましたね。
形や積み方にも違いが見れられるそうです。
彼岸入りにお供えする「入り団子」は、あの世から帰ってきたご先祖様の疲れを労わる為、彼岸明けにお供えする「明け団子」は、ご先祖様へのお土産としてお供えします。
ご訪問と彼岸会
また、お彼岸の頃に、親戚や知人などのご家庭に訪問する風習のあるところもあります。
その時に、手土産としてお供えを用意しのし紙をつけますが、西日本では黄白、東日本では黒白の結びきりの水引を用いるようです。
宗教の違いを考えると、表書きは「御供」が無難かと思いますが、「御仏前」も大丈夫かと思います。
下には自分のフルネームを書きましょう。
ただ、忌明け前(四十九日の法要前)の場合は、「御霊前」となるので注意しましょう。
他に、ご香典という言葉を聞いたことがある方もおられると思いますが、本来はお線香(お香)を届けたことからそう呼ばれるようになったそうです。
ですので、他家に伺う時はお線香をお供えするのもいいでしょう。
お供えとして現金を包む際には、お相手との関係性もありますが、通常は3千円~5千円。初彼岸(故人を亡くされて四十九日の法要を終えた後の初めてのお彼岸)5千円~1万円とされています。
*初彼岸という名前がついていますが、初彼岸に特別何かするという事はありません。
*法要を行う時のお布施は、一般的に5千円~1万円程度が相場ですが、地域やお寺よって決まりがあるかもしれませんので、確認する方が安心できて良いでしょう。
お坊さんに出向いてもらう際には、3万円~5万円。距離がある場合は、これに加えてお車代も包むようにしましょう。
精進料理
お彼岸は修行をする期間でもあるので、精進料理をお供えし、自らも食べる食べる習慣のある地域があるそうです。
彼岸蕎麦や、うどんを食べる地域もあるそうですね。
それ以外の地域では、通常の食事をとるところがほとんどです。
精進料理については、別トピックにて詳しく記事にする予定です。
記事が執筆出来次第アップいたしますので、興味を持たれましたら、また覗いて見て下さいね。
お彼岸で避けるべき事は?
お彼岸に何かしてはいけないということはありません。
宗教や地域によっては、六波羅蜜の修行をするところがあるので、その場合は配慮をした方がいいですが、基本的にお祝い事やお見舞いなども避ける必要はないようです。
お供え物に対しても、お返しをする必要はないですが、マナーとしてお礼状や電話で感謝を示されるのが、気持ちのいいお付き合いを続けていくうえで、大切なのではないでしょうか。
シルバーウィーク
シルバーウィークは、敬老の日の辺りから、春のゴールデンウィークに対して、秋の大型連休についてそう呼ばれるようになりました。
まず敬老の日が、ハッピーマンデー導入により、9月の15日から第3月曜日に移り連休になるようになったので、秋分の日の辺りが土日と重なり、有給などを使ったら大型連休が発生しやすくなったことも、要因の一つに挙げられると思われます。
最後に
お彼岸については、色んな説があり、地域によっても特色があるようです。
今後、お墓参りの作法。お線香の上げ方などのマナーについてなどは、別のトピックで記事にしていこうと思いますし、興味深い情報を見つけたら、記事としてまとめていきたいと思っています。
興味を持たれた方は、また覗いて下さると嬉しいです。
ご先祖様に思いをはせる事は、自分自身の生い立ちを見つめる事、自分を見つめ直す事にもなると思います。
自分が今ここにいる事は、奇跡とも呼べます。
その事に感謝して、ご先祖様に手を合わせるのもいいかもしれませんね。
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